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あほんだら、出直してこい

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  • Started 12 years ago by plbx3587

  1. 木谷は班長の顔色がわるく、斑点があり、その鼻が途中で欠けているかのようにさきがとがっているのを見た。「おい、田川、部隊長訓をいってみろ。」班長はひょいと体を返して木谷の列のなかにいる初年兵を指した。すると木谷から二人ほど左にいた安西二等兵が体をふるわせたのがはっきりわかった。「はい、一ツ互いにいましめ合うこと。二己を捨てろ。三嘘を言うな。四誠心に生きろ、であります。」田川二等兵は言った。彼は眼を天井に向けていた。「あほんだら。初年兵係。」班長は言った。「はい……」地野上等兵が言った。「初年兵係、お前の初年兵さん、ほんまに頭がええなあ。あほんだら、出直してこい。」班長は言った。「はい。」初年兵係は言った。「田川、おすけ野郎、お前班長殿から質問されたらまず不動の姿勢とらんか。」「はい,coach 財布 新作。」田川二等兵の声はいつものように悲壮だった,ルイヴィトン モノグラム 財布。彼は不動の姿勢を取った。彼の上には点呼後何が起るかはっきりしているのだ。「あほんだら、おそいわ。」班長は言った。「おい、曾田。」彼は曾田一等兵の方へふり向いて言った。「はい。」曾田一等兵は言った,オメガ メンズ 時計。「何やこの勤務のつけ方は、俺の班から二名も厩当番につけやがって……それに、炊事に将集。勤務ばっかりで班内からっぽやぞ。貴様、この班にうらみがあるのか、あほんだら。四つに折って塩漬けにするぞ……」班長は、曾田一等兵の前まで歩いて行ったが、こんどは小さい甘い声でつづけた。「おい、どや? こんど、俺は、外泊確実か……准尉さんがどないいうてた。……おい、外泊くれなんだらな、こんどはきっと、塩漬けやぞ……」 兵隊たちは笑った。しかし曾田一等兵はただにやにやしているだけだった。木谷はじっとその方をみていた。「点呼!」週番下士官が下の廊下でどなった。「点呼。」 点呼ラッパがなり渡っていた。「気をつけ!」班長は廊下に立って号令をかけた。兵長はすぐ横の寝台の前のいままで開けてあった位置にはいった。 白赤の週番肩章をかけた週番士官は週番下士官をともなって威勢をつけたはげしい「点呼の勢い」でやってきた。班長は敬礼して、総員を報告し番号をかけ異常なしと言った。 眼のくりくりして背の低い週番士官は兵隊の列の前をあるいて一人一人の顔色をしらべて行った。それがすむと彼は形式通り銃架と整頓に眼をやった。「おい、大住、班長はどうした、吉田班長はどうして点呼をうけんのか。」週番士官は言った。「は。吉田班長でありますか。……風邪をひいていま臥床中《がしようちゆう》であります。」大住班長は低い気取った声で言った,ルイヴィトン ボストンバッグ。それが彼がこの少尉に対する抵抗だった,クロエ 二つ折り財布。「そうか。よし。」週番士官は言った。それから彼は巧みに長靴をならして廻れ右をしてそして二班の方へ引き返した。木谷は週番士官が自分のことについて何もふれることがなかったのでようやく心をゆるめたが、それは無駄だった。整った顔をしているにもかかわらず、淋病《りんびよう》患者のように股《また》をひらいてのそりのそりとあるく伍長の週番下士官はかえるときに言った。「大住班長殿、今日、かえってきたのは、この班だしたな。かえってきてまんな。」 週番下士官が去って行くと班長はささやくように言った。「あーあ、なさけなや、俺も明日は風邪引いてやるぞ。」 十二 木谷は点呼が終ったときは、『もうどないなとなりやがれ。あの曾田一等兵に頼んでみたところで同じことだ。』という風に、考えていた。しかし彼はそう考えながらも近くにやってきた染一等兵をつかまえて曾田一等兵についてききだした。「煙草ないか、煙草ないか。」と染一等兵は歌うように言いながら、袖のなかに両手をつっこんでぶらんぶらんさせて歩いていたが、やがて彼のところにやってきて説明した。それによると曾田一等兵は何かふっと眼に空気があたると木谷が思っていたように、大学出身者だった。彼は三年兵の補充兵で人事係の助手をしていた。そして染一等兵の「あら、ほんまに、ええ人だっせ。」という言葉には曾田に対する彼の好感がはっきりでていた。しかし学校出ということが分れば、木谷と曾田との間には、打ち破ることのできない障壁がそびえたった。彼は改まった眼であらためて向うの寝台の方をみてみなければならなかった。 そこでは右腕に教範類と大型ノートをかかえた田川二等兵が大きな体を前へつき出して、たのみごとをしていた。「三年兵殿。行って参ります。……あの山砲分解図、もう一度、貸して頂きたいのですが。」「これから将校室いいくのか。行くのやったら、はよう行けよ。はよ行かんとやられるぞ。」曾田一等兵は手箱から薄い分解図のほんを出してきて言った。「あいたら、この手箱のなかへつっこんどいてくれ。」 もう初年兵係の声が向うでしていた。「田川、おい、田川、一寸、ここへこい。こいったらこないのか。」「はい……」田川二等兵は歩いて行った。「はいっ、はいっ……」彼は今まで、むしろ自分からこの呼び出しをまっていたかのようだ。「おそろしいか……ふん、おそろしいか。」やってきた地野上等兵は言った。「にげるか。貴様ら……」彼はそのとき、班から出て行こうとする兵隊達に向って言った。「将校室へ行く。将校室が何よ。将校のうしろにかくれやがって、いまに踏みこんでやるぞ。よし、今日は、このまま行かしといてやる……。逃がしといてやらあ。お前ら毎晩将校室でガブガブお茶のみくさって雑誌よんでやがるいうことやなあ……。あす朝、佐藤も谷も弓山もみんな俺のとこへこい。」「安西、お前もこい。」地野上等兵は班を出おくれて、銃架のところでうろうろしている安西二等兵に言った。 染一等兵はまた歌うようにして歩いて行った。「五つに分れたり、アジア州、ヨーロッパ州、北アメリカ州、南アメリカ州……,aokley サングラス 通販。だれか煙草喫ましたれや。ほんまに喫ましたりいな。……ああ、あ、一つの怪物がヨーロッパをあるきまわっている。」「染! 貴様、態度太いぞ……こいつ。」地野上等兵が言った。「いやあー、上等兵殿、厩へ行きまんねんやないか……これから馬に水やりに……」「馬の水与《みずあた》え出ろ! 各班、馬の水与え出ろ。」階下から外務週番上等兵の声がしていた。「初年兵! 初年兵!」「初年兵? 初年兵に馬を可愛がってもろう? あほなこと! 初年兵いまごろ、将校室でストーブたいて、タバコふかしてやがるよ。こっちが、さむいさむいいうて、ふるえてるのによー。」「初年兵のやつ、馬の水与え位すませて、行きやがればええのに、点呼すんだら、すぐ勉強やぬかしやがって、将校室い行きやがる。
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    Posted 12 years ago #

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