「おれたちが?」リューは突然つぶやいた。「おれたちと……あの第二圏外からきた乗物にのっている連中と、兄弟だって? なぜ?」「リュー」とグギーはいった。「一度、着水しよう。温度が上ってきたし、水もにごってきた」「圧力もれが、おこりそうです……」と機関士はいった。「大気の摩擦抵抗で……あちこちがゆるみかけています」「操縦も、これが限界です」操縦士はいった。「大気圏の外へ、脱出しないと……この高圧の底で、いずれわれわれはペチャンコになりますよ」「上昇……」艇長はいった。「またいつか……もっと高圧に耐える宇宙艇をもってこよう。今回は、この高圧下に、知的生物らしきものがいる、ということを確認しただけでいい」 操縦士は、艇首をあげた。——まっさおな、高密度層は、ぐんぐん遠ざかりはじめた。「さよなら……」若いレイは、遠ざかり行く黒い紡錘形の乗物にむかって、なんとなく手をふった。「さよなら……高圧の中の生物たち、いつかまた君たちと、言葉をかわすようになる時がくるかも知れない」「行ってしまう,バーバリー 財布!」リューはさけんだ。「見ろ。行ってしまうぞ」「おーい!」グギーはみるみる上昇して行く、平たい乗物にむかって叫んだ。「君たちは誰《だれ》だ?——何しにきたんだ? なぜそんなに早く、行ってしまうんだ?」 水面に着水し、ほんの鼻面だけ出した圏外船の中から、二人は凝然として、遠ざかり行く黒い点を見上げていた。——二人の耳の底には、あのしわがれた、冥府《めいふ》の底からきこえてくるような〃神聖記憶〃の声が、まだひびいていた。 ……オ前タチハ……兄弟ダ…… ——しかし、 たとえ、リューたちと、レイたちが、お互いむかいあったとしても、彼らがお互いに「共通の先祖」から、出てきたのだ、ということを、すぐに理解できただろうか? リューたち、——なめらかな暗褐色の皮膚におおわれた、前の方が太いずんぐりした水滴型の柔軟な体、髪のない頭部は、ほそくとんがり、眼《め》はもとあった位置よりはるかに上の方へ——つまり泳ぐ時に前方を見るのが便利な方向へうつってしまっている,mcm 財布。下肢では、大腿《だいたい》部がほとんど癒着し、巨大な足の指先は、オットセイのようなひれと化し、短い前肢の指の間には、水かきがついている。そしてなによりも——生物として、まったく新らしい型の、水中肺呼吸のため、肋骨《ろつこつ》の下部に大きくかま型にひらいた噴水口と、発達した胸に、大量の酸素を必要とするために、巨大化した胸廓《きようかく》が、異様な印象をあたえる。 そしてレイたち——真空中の、それも微弱な重力下で生きるために、極度に細長くなり、三段の関節をもつようになった四肢、そして、放射線エネルギーでもって代謝をおこなうために、輝く銀色から、漆黒まで、体にあたる線量に応じて、きわめて敏感に変色する、強靱《きようじん》な皮膚——かたく、丈夫な硅酸《けいさん》質でおおわれた巨大な二重角膜、臀部《でんぶ》にラッパ型にひらいているガス噴出口、頭部の耳の所にはり出した、金属質の触角、背中にもりあがるメタボライザーにひらく、栄養注入口と排泄《はいせつ》口……。 これが、十数万年前、共通の先祖であるヒトから、それぞれ分れて進化してきたものと、誰が知ろう?——十数万年前人類は、歴史の曲り角にあった。科学は発達し、人口はふえ、人々は宇宙に進出して行き、あるいは海底開発にむかった。——やがて気候は変り、地殻は新らしい変動期をむかえ、陸地は水没しはじめ、一方、宇宙では、そこで一生をおくる何十世代かが数えられた。すでにその頃《ころ》、遺伝子の人為的コントロールを可能にしていた人類の祖先は、未来にむかって、適応し得ると思われる、何百種類もの、ヒトの変種をつくり、それを苛酷《かこく》な未来にゆだねた。——十万年以上がたち、全表面を水でおおわれた地球では、リューたちの水中肺呼吸型の仲間だけが生きのこり、さらに進化をすすめた。すでに、太陽さえ見えないはるかな宇宙に進出していた人類の中からは、サイボーグをモデルとして、遺伝子形成された、無呼吸放射線代謝の、レイたちの仲間が、もっともさかえた。——その体内に、気相と液相の酸素を一定量もち、その循環と浄化を、輻射《ふくしや》エネルギーによっておこなうこの奇妙な種族たちが……。 数千世代ののち、二つの種族は、再びふれあおうとしていた。——だが、かすかな、なにやら親近的な交感をかわしただけで両者はふたたび遠くはなれていった。やがて両者の間に本式の接触が開始され、おたがいに共通の先祖にきづくのは、まだはるかに未来のことであったろう。——両者をへだてる十数万年の進化のドラマの秘密を知るものは、ただ、あの老いさらばえて、ほとんど磁性をうしないかけている、もっとも古い、〃神聖記憶素子群〃だけだった。——年おいた聖なる「記憶」は、遠ざかり行く宇宙船と、水上にただよう圏外船にむかって、老いのくりごとのように、とぎれとぎれにくりかえした。〃オ前タチハ……兄弟ダ〃 神への長い道 1 しずまりかえった市街を、あてどなく歩きながら、足は、またあの〈神殿〉にむかってしまうのだった。〈大通り《ブールバール》〉をまっすぐくだって行くと、〈公園〉の光と煙の噴泉の傍に、エヴァが脚を組んでひっそりとすわっていた。——音もなく、噴き上っては、四方にもつれながらおちる五彩の煙と、それに交錯する七色の光が、陽《ひ》にやけたエヴァの頬《ほお》を、淡い、複雑な色彩に染め上げ、黝《くろず》んだ空にかがやく青とオレンジ色の二つの太陽がつくり出す二重の影が、半透明の材料でつくられた広場の地面の上に、くっきりおちていた,TUMIトートバッグ。------------------------------------
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「おれたちが
(1 post)-
Posted 12 years ago #
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