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今日は縁日ではなかった

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  • Started 12 years ago by m0lhyp80

  1. 東京の世田谷区から遊びにきた、寺沢隆《てらさわたかし》の一家は五人連れだった。 三十代後半の寺沢夫婦と、小学生の二人の女の子と、寺沢の妻の母親。 一家は、二人の子供の春休みに合わせ、四月一日から三泊四日の日程で、宇治平等院や奈良の桜を見にきたのだった。 昨日は奈良の中心、高畑町のホテルに一泊。 この日はハイヤーをチャーターし、奈良公園を歩き、興福寺、東大寺、春日大社などを観光してから、生駒スカイラインを経て、信貴山へきた。 投宿したのは『ホテル信貴』であり、夕食は、数寄屋造りの座敷で、時間をかけて食べた,hermes トート フールトゥ。 ホテルの庭園越しに、開運橋の赤い欄干と、朝護孫子寺の広大な境内が望める、落ち着いた日本間である。 和やかな雰囲気に包まれた五人は、傍目にも、平和そのものの家族と映った。 経済的にも、もちろん人一倍恵まれている一家だった。 寺沢の父親は、東京・品川に本社を置く『徳光製靴』という二部上場会社の社長であり、寺沢は父親の下で総務部長を務めているのである,エルメス ブレスレット。 いずれは、父親のあとを継いで、社長となる立場だ。 ゆっくりと山菜料理を味わっているうちに、春の山は暮れてくる。 空が暗くなり、夜目に、桜の花が白く感じられるようになると、対岸の石灯籠に灯が入った。 長い参道には、ぎっしりと、無数の石灯籠が立ち並んでいるのである。 石灯籠のひとつひとつに点る灯と、その鈍い明かりに浮かび上がる夜桜は、何ともいえない神秘的なムードを醸《かも》し出す。 今日は縁日ではなかった。いまは全山が人気もなく、ひっそりとしている,エルメス。「お食事が終えたら、どうぞ、お出かけなさいまし」 仲居は、デザートのメロンをテーブルに載せたところで言った。 小学生の女の子二人は、古都の寺社めぐりに飽きたのか、柿の風呂吹き、子持ち鮎の甘露煮、無花果《いちじく》のホワイトソースかけ、椿の花や虎杖《いたどり》のてんぷらといった、山菜料理の夕食が不満なのか、「ママ、お部屋へ行って、テレビを見たいよ」 と、ぐずったりしているが、妻の母親は、「それじゃ、隆さんに、夜桜見物に連れていっていただきましょうかね」 と、桜湯を飲みながら、婿の顔をのぞき込んだ。 寺沢はアルコールには弱い体質なので、妻と分け合ったお銚子一本の地酒『信貴』で、顔を真っ赤にしている。 山の中のホテルは静かだった。 対岸の石灯籠に、一斉に灯が入ったとはいえ、いま、広大な境内は、無人ともいえる静寂を漂わせているのだ。 寺沢はメロンを食べ、妻の母親と同じように桜湯を飲むと、ケントに火をつけた。 もう一人の仲居が入ってきて、寺沢に電話がかかってきたことを告げたのが、そのときである。「お電話は、こちらに回してございます」 仲居はひざをついて、部屋の隅の違い棚から受話器を取った。 寺沢の表情が見る間に変わってきたのは、「あ、どうも」 と、たばこをもみ消して立っていき、「寺沢ですが」 と、受話器を耳に当てた一瞬である。「きみか、きみは一体だれなんだ,女性 エルメス長財布?」 寺沢が早口で、そんなふうに問いかけたのを、寺沢の妻と母親は耳にしている。 寺沢は家族の注意を意識してか、テーブルの方に背を向け、送話口を、両手で囲うようにした,櫻井翔 hermes 手帳。 そして、低いが、さらに激しい口調で、「どういうことかね」 と、繰り返す寺沢の詰問を、妻ははっきりと聞いている。 電話は長くかからなかったけれども、寺沢が急に塞ぎ込んでしまったのは、それ以来だった,hermes トート mm。「お電話、東京からですか」「お仕事の、急ぎの連絡だったのですか」 と、妻が問いかけるのも、上の空といった感じで、「ちょっと出かけてくる」 寺沢はいったんテーブルに戻ってきたものの、すぐにまた立ち上がっていた。「お出かけって、王寺《おうじ》まで下りるのなら、ホテルでタクシーを呼んでもらわなければいけないでしょ」 と、妻は言った。 信貴山の最寄り駅は、関西本線の王寺だ。王寺からはJRで奈良駅まで十五分。逆行の大阪方面は、天王寺駅までおよそ二十二分。どこへ出るにしても、王寺を経由しなければならない。-------------------------------

    Posted 12 years ago #

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