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酒 中 日 記 某月某日

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  • Started 12 years ago by l07n50iw

  1. このギンポに似たことが、私と平貝の関係において存在しはじめた。貝類は寒い季節がうまいので、ギンポよりははるかに時期についての余裕はあるが、かならず握り鮨で食べなくてはいけない。もちろん、新鮮でめしの上で反りかえっているような切身でなくてはいけないので、もし両端がしょんぼり左右に垂れている握り鮨に出会ったとすれば、薄気味わるくなってしまうだろう。 馴染みの鮨屋で、まずすし種で一ぱい飲むが、そのときには平貝は注文しない。一度、こういう形で食べてみたが、旨くなかった。平貝の薄い甘味がすこしうるさく感じられてよくない。その甘さを、飯の酢の味が消し、歯切れのよい平貝の切片と米粒とが、口の中にひろがるところがいい。 今年は、平貝の鮨をずいぶん食べた。マグロは鮨屋にとって不可欠のもので、鮨屋としてはむしろ損を覚悟で常備してある。したがって、客としては|矢鱈《やたら》マグロを食うのは違反行為である,オークリー サングラス 激安。「平貝がなくて怒る客はいるかな」 と、私は鮨屋のコウちゃんに聞いた。「いませんねえ」「それじゃ、いまあるのを全部握ってくれ」 そう注文したが、六個分しか残っていなかった。なお、|海苔《のり》を帯状に巻く手口があるが、あれは避けたほうがいい。海苔が、平貝の味のデリケートなところを|毀《こわ》す。 銚子二本 酒量がとみに落ちた。酒を飲んで眠くなるなど考えられなかったが、数年前からときどきそういうことが起る。 お酒は二本、ということにきめることにした。先日、しかるべき料亭で、「徳利に番号札がつけてあると便利なんだがなあ」と言っていると、|洒落《しやれ》のわかる店で二本目の徳利の肩のところに「二」という小さい紙がセロテープで貼りつけてあった。 もっとも、そういう会のあと、場所を替えてビールをえんえんと飲むことが多いので、結局は不都合なことになったりする。 酒 中 日 記 某月某日。「刑事コロンボ」の一連の作品は玉石|混淆《こんこう》だが、そのなかの「別れのワイン」というのは傑作である。ロサンゼルスに住むワイン・クレージーの金持が自宅の地下室を|貯蔵庫《カーブ》にして、エアコンディショナーを使って一定の温度に保っている。この男が殺人をたくらんで、一週間ニューヨークに行き完璧とおもえるアリバイをつくる。ところが、その留守に停電があったため、地下室の温度が上ってワインがぜんぶ駄目になる。すくなくとも、その男の舌にとっては、「この臭い水」というものに変質してしまう。そして、その敏感すぎる舌のために、コロンボの仕掛けた|罠《わな》に落ちて、アリバイが崩れてゆく。 このテレビ映画を見てから、ワインを貰うのが気持の負担になりはじめた。ワインを寝かせてある書庫は、夏は暑く冬は寒く、停電による気温の変動どころではない。 貰ったワインはすぐに飲んでしまえばいいのだが、晩酌の習慣がない,オークリー メガネ。こういう悪条件を切抜けて無事に舌の上(さして敏感な舌ではないが)を通過するのもあり、駄目になっているのもある,オークリー フロッグスキン。このところ、来客があるとワインの栓を抜き、いまは|喘息《ぜんそく》の季節なので自分ではきき酒だけにして、諸氏の飲みっぷりを眺めることにしている。その強いのに驚くが、昔は自分もああいう具合だった、ともおもう。 午後二時、U社のN氏とNO氏来訪。とりあえず、ボルドーの赤を一本開ける。さいわい、傷んでおらず、無難。つづいて、ボルドーの赤をもう一本、このほうが旨い。念のため、自分が編集して二年前に出版になった『酔っぱらい読本』の第七巻を持ってきて調べてみると、ちゃんとその銘柄が出ていて、自分でおどろいた。『(シャトー)ベイシュヴェル。メドック格付第四級。このサン・ジュリアン村のワインは近来とくに評判が高く、新リストで二級。この変った名は、ジロンド河を遡った船が「帆をおろせ」といった古語。ラベルも船の絵』ラベルを見ると、なるほど古風な船の帆が半ばおりている。帆の模様は、ぶどうの房と葉である。数年前ボルドー市のホテルに泊ったとき、一晩じゅう波に似た音がしていたが、サン・ジュリアン地区は、そこよりもずっと河口に近い。--------------------------

    Posted 12 years ago #

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