基は一ページ一ページ、たんねんに目を通していった。しかし基が期待しているようなことは何も書いてなかった。生徒会のこと、文化祭のこと、それにクラスのその日のできごとについての簡単な感想などが、ありし日の北島の姿をくっきりと浮かび上がらせていた。「だめだ,mcm リュック 激安! 何も書いてない」 もう一度読みかえしたが同じことだった。 袋の中には日記帳のほかに薄いノートが二冊、一冊はメモ帳だった。友人の電話番号や、懸賞を出した日づけなどが雑然と書きこまれている。それにも注意を引かれるようなことは何もない。残る一冊は表紙にカバーをかけた国語のノートだった。北島のお姉さんがまちがえて入れたのかと思ったが、よく見ると後ろの方に詩が書かれている,mcm 財布。北島が作った詩らしい。文集を作ると言ったので、北島のお姉さんはそのノートもいっしょによこしたらしい。基は心がうずいた。(ごめんなさい。北島のお姉さん。うそを言ってこんなの借りたりして。北島。かんべんしてくれよな) 基は日記帳やノートを袋におしこむと、また霧雨の中を歩き出した。 ——北島の方は浦川礼子とは何の関係もなかったようだ。五郎だってはっきり浦川礼子が北島にもたのんだ、とは書いていないのだからな。 北島の日記帳の線はくずれた。基は妙に気落ちして、雨を吸ったバスケットシューズさえいやに重く感じられる。 家に帰りついてもなんとなくからだじゅうから力がぬけたような気がして、基は自分の部屋に閉じこもった。 このままでは北島の日記をかえすわけにもゆかない。「文集を作るって言っちまったんだからな」 こうなればクラスにはかって、ほんとうに文集を作るようにおし進めてゆかなければならない,mcm リュック。「やれやれ。おれはいつも自分で言っちまったことを実行しなければいけないようになるんだからなあ」 北島のためにはそれは進んでやりたいことなのだが、提案したあげくのまとめ役が、基自身にまわってくることはわかっていた。 基はふたたび紙袋から北島の日記帳をとり出した。さっき道端で立ち読みしたせいであろう。日記帳はじっとり湿っていた。「あ、いけねえ。夢中で読んでいたから気がつかなかったが。乾かさなければ」 霧のような雨はわずかな風にも巻かれて、雨がさのかげの日記帳の表紙を濡らし、書かれた文字のところどころをみにくくにじませていた。濡れたままを袋に入れてつかんできたのがさらにまずかった。基は三冊のノートを机の上にひろげた。「あっ、いけねえ」 国語のノートにかけられた薄緑色のカバーが、濡れた部分のおれめからちぎれてぱらりと落ちた。「あとでセロテープでつないでおけばいいや。なにしろ遺品だからな。原形にもどしてかえさなければ」 基はカバーのちぎれた部分をひろい上げて、そっとノートのわきにひろげた。その、手のひらほどの大きさの、べったり濡れた紙片の裏側にこまかな文字がならんでいた。「ああ、インクがにじんじゃったなあ!」 裏に書かれた文字が、おもて側ににじみ出てしまったのだ。水気を吸って、べっとりと木の葉のように机の表面にはりついている紙片に、顔をしかめていた基の目がにわかに吸い寄せられた。 水に濡れて、にじんだりうすれたりしている小さな文字が、みるみるはっきりとした意味をもって、基の網膜に火花を散らした。--------------------------------------
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濡れたままを袋に入れてつかんできたのがさらにまずかった
(1 post)-
Posted 12 years ago #
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