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店へ入って、種物を註文し、板場にいた老職人に声をかけた

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  • Started 12 years ago by pore9301

  1. 文を受け取って、東吾は開いた。 あまり上手とはいえない女文字で、 かうじまちのなぬし やべよへえを、みはってください わかせんせい[#地付き]ごぞんじより と書いてある。「いったい、どなたで……」 嘉助に訊かれて、東吾は苦笑した。「多分、あいつだろうと思うが……別に、るいが心配するような女ではない」「それはもう、別にお嬢さんがやきもちを焼いていらっしゃるわけではございませんが……」 しかし、このところ、東吾の足が大川端から遠ざかっている。「この一件が片づいたら行くと伝えてくれ」 嘉助を帰して、東吾は畝源三郎を訪ねた。「麹町十丁目に名主、矢部与兵衛と申すのが居りますが……」 親代々、名主の家で、与兵衛は六十を過ぎた老人だといった。「まさか、与兵衛が賊の一味とは思えませんが……」「夜鴉おきんの家は、日本橋長谷川町だったな」「この文は、おきんからですか」「そんな気がするのだが……」 その足で長谷川町へ行き、名主に訊いておきんの住所をのぞいてみたのだが、雨戸も入口も閉っていて、人の気配もない,mcm リュック。「いい仕事の口があって、木更津まで行くといって出かけましたが……」 隣の家の女房が教えてくれた。「とにかく、源さん、矢部与兵衛を張ろう」 途中で腹ごしらえをするつもりが、つい気がせいて麹町十丁目まで来ると、舛屋という蕎麦屋がまだ店を開けている。 室町の蕎麦屋で聞いた名前であった,mcm 財布 メンズ。 店へ入って、種物を註文し、板場にいた老職人に声をかけた。「この店に寅吉という小僧はいなかったか」「あいつは、昨日女が迎えに来て、出て行ったきり、帰って来ねえんです」 この辺りではみかけない女が、寅吉を外へ誘い出して話をしていたが、気がついてみると二人共、姿がみえなくなっていたという。「抜けまいりから帰って来て、やっと腰が落着いたと思ったんですが……」 間違いはなかった,mcm リュック 激安。この店に奉公していた寅吉と、長寿庵の吾一と、室町の蕎麦屋にいた小僧と、三人がそろって抜けまいりに行き、徳兵衛と名乗る男からこづかいをもらっている。「その寅吉をたずねて、三十五、六の男が、この店へ蕎麦を食いに来たことはないか」 東吾の問いに、老職人がうなずいた。「三日前に、そんなことがありました。抜けまいりで知り合ったとかで……蕎麦を食って、随分、寅吉と話し込んで帰りましたが」 それも、寅吉の失踪とかかわり合いがあるのかと眉をしかめている。 ちょうどその時、入口を鳶《とび》の頭《かしら》といった様子の男が入ってきた。 板場のところで、この店の主人と話しているのを聞くともなしに聞くと、祭の相談であった。 来月十五日、天下祭と呼ばれる山王権現の祭礼に、麹町から祭行列に出る屋台の準備は、もうとっくに始まっている筈であった。「源さん……」 心にひらめくものがあって、東吾は声をひそめた。「今年、麹町界隈は年番に当っているのではないか」 年番に当った町内には、特に大奥あたりから屋台の出しものについて註文が出る。 例えば、踊り屋台で芝居の演《だ》し物をやるようにとか、春日竜神の舞をみせろといったふうに、お上から御内意があらかじめ、町奉行を通じてその町内に申しつけられる。 これを、御雇祭と称して、お上のほうからそれにかかる費用を町内に下附されるならわしであった。 源三郎の返事は打てば響くものであった。「左様です。麹町一丁目から十三丁目まで、御雇祭の内示がありました」「御下附される金は……」「屋台一台につき八十両、およそ三百二十両ばかりが、昨日、奉行より名主に渡されて居ります」
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    Posted 12 years ago #

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