確かに蘭秋《らんしゅう》ならできるよ! あの人なら絶対《ぜったい》男役に負けねぇな!」 雀《すずめ》は、蘭秋に会った時「すごく強そうだ」と感じたことが納得《なっとく》できた。「蘭秋と藤十郎《とうじゅうろう》の『怨念《おんねん》もの』は、面白《おもしれ》ぇよな」と、桜丸《さくらまる》が言った。「怨念《おんねん》もの」とは「怪談《かいだん》」のことである。妖怪《ようかい》たちが怪談を面白がるとはこれ如何《いか》にと、雀は大笑いしたかったが、いかに妖怪といえど、やはり怨念は恐《おそ》ろしいらしい。「殺された女が、墓場《はかば》から血みどろンなって男に復讐《ふくしゅう》しに来るのヨ。イヤこれが、えれぇ迫力《はくりょく》でな」「あれは、美形の蘭秋ならではの怖《こわ》さだよねぇ。あの美しい顔を血まみれにして『お恨《うら》み申しますエ』なんて言われたら、ギャッと言っちゃうネ」「アハハハ!」「怨念もの」は、今や日吉座《ひよしざ》の人気|演目《えんもく》の一つである。 王春や焔の芝居には飽《あ》きたらぬ、また女連れで芝居を楽しみたいという客層《きゃくそう》が日吉《ひよし》に押《お》しかけた。蘭秋は、たちまち男にも女にも支持《しじ》される人気役者となり、日吉座は一躍《いちやく》、大江戸《おおえど》三大|座《ざ》の筆頭《ひっとう》に踊《おど》り出たのである,celine ショルダー。 日吉座の前は、客やら冷やかしやらでワイワイガヤガヤと祭りのように賑《にぎ》わっていた。今|掛《か》かっている演目《えんもく》「ヤマタノオロチ」の絵|看板《かんばん》や、男優女優《だんゆうじょゆう》の絵姿《えすがた》がズラリと飾《かざ》られ、演目を解説《かいせつ》する呼《よ》び込《こ》みの口上も威勢《いせい》よく、囃子《はやし》にのせて舞《ま》いも披露《ひろう》されていた。「いいねえ。華《はな》やかだねえ」「したが、日吉はこれでもまだ落ち着いてらア,celine クラッチバッグ。これが王春なら、劇場《こや》前にヤサ男どもがガン首|揃《そろ》えて、集まった女どもに色目を使いやがって、まるで男茶屋だぜ」 劇場の中へ入ると、土間はもう大入り満員だった。 獣妖《けものよう》やら目玉|妖《よう》やら、大やら小やら、首の長いの手足の多いの、毛深いのツルッパゲの、どこでどう見るのかノッペラボーだの、ひしめきあう客たちはまるで妖怪《ようかい》の見本市のようだった,celine collection。その間を、蜘蛛《くも》男が長い手足で這《は》いまわり、餅《もち》や茶を売り歩いている。雀《すずめ》は、その様子を見るだけでも楽しかった。 一方、桟敷席《さじきせき》に悠々《ゆうゆう》と陣取《じんど》っているのはパリッとした恰好《かっこう》の者たちで、裕福《ゆうふく》な商人やら、頭巾《ずきん》で顔を隠《かく》した武士《ぶし》もいた,celine バイカラー 財布。たいてい綺麗《きれい》どころを横に侍《はべ》らしている。(なんか俺《おれ》たち、桟敷席にはちょっと場違《ばちが》い? 綺麗《きれい》どころも……コレだし) 雀《すずめ》は桜丸《さくらまる》を見た。「何笑ってンだえ?」「いや別に」 そうこうしているうちに、舞台《ぶたい》の幕《まく》が上がった。まずは人気役者の舞いから。 日吉座《ひよしざ》の看板男優藤十郎《かんばんだんゆうとうじゅうろう》の男舞いは、古典的な振《ふ》り付《つ》けながらその美しさが評判《ひょうばん》である,celine パロディt。手の一差《ひとさし》し足の一差しの指の先まで、まるで銀糸を張《は》り詰《つ》めたようだった。それは、舞いなどとはおよそ縁遠《えんどお》い雀にもわかるものだった。「綺麗だ……!」 藤十郎は人型のように見えて、その切れ長の目は金、耳はピンと尖《とが》り、口元には細かい牙《きば》が見えた。そして、身体《からだ》の背中《せなか》半分が青っぽかった。「あれは、水虎《すいこ》だよ」「川の妖怪《ようかい》かぁ。あ、うさ屋の板サンと親戚《しんせき》みたいなもん!? ずいぶん違《ちが》うけど,celine バッグ 中古。ハハ」「天下の藤十郎と比《くら》べないでおやりよ」「まさに、水も滴《したた》るいい男ってやつだ」 次に登場したのは、こちらも人気のある役者、李角《りかく》の神舞い。もともと神社などで神に奉納《ほうのう》する神事として舞われた舞いである。 李角は、岩のような大きくゴツゴツした身体と顔で、鼻がひしゃげた蝙蝠《こうもり》のようだが、激《はげ》しい太鼓《たいこ》に合わせて長い棒《ぼう》を振《ふ》り回《まわ》して舞う姿《すがた》は神秘《しんぴ》的だった。 それを見ていた雀は、ポーと桜丸に訊《たず》ねた。「あのサ……、藤十郎と李角を比べると、俺《おれ》としては藤十郎の方が男前だと感じるんだけど……みんなもそう感じるのかイ?」「藤十郎《とうじゅうろう》と李角《りかく》じゃ、藤十郎の方が美形だとは思うけど……。人型だから美形だってことでもないネ」と、ポーが言うと、桜丸《さくらまる》も頷《うなず》いた。「波動の問題みてぇだな」「波動??」「そいつが、美しいという波動を発しているかどうかによるのヨ」「ふぅ〜ん!?」 わかったようなわからないような。 蘭秋《らんしゅう》が舞台《ぶたい》に上がった。 燃《も》えるような紅《べに》色の着物が、目にも鮮《あざ》やかだ。たちまち客席から声が飛ぶ,celine 財布 定価。「待ってました!」「芍薬《しゃくやく》、牡丹《ぼたん》、百合《ゆり》、蘭秋!!」 蘭秋は、大勢《おおぜい》の女たちを従《したが》えて舞《ま》い、その群舞《ぐんぶ》はまるで花吹雪《はなふぶき》のようで、それはそれは華《はな》やかで美しかった。客席はうっとりした,celine 日本。 舞《ま》いの後には、短い芝居《しばい》が二つ。人情《にんじょう》ものとお笑いものが演《えん》じられた,celine マイクロショッパー。 お笑いものに登場した蘭秋は、わざわざ狐《きつね》の面をかぶっており、蘭秋が化《ば》け狐と知っている客たちは大|爆笑《ばくしょう》した。そして、遊女蘭秋に言《い》い寄《よ》って振《ふ》られるバカ旦那《だんな》を色男の藤十郎が演《えん》じ、蘭秋の白い尻尾《しっぽ》でビシバシひっぱたかれる藤十郎に客席は大受けで、雀《すずめ》も腹《はら》を抱《かか》えて笑ってしまった。「面白《おもしろ》い、コレ!」「どうだい、芝居も中々いいものだろう,celine ブランド!?」 ポーは、パイプをうまそうに吹《ふ》かした。「やっぱ芝居がうまいなぁ、日吉《ひよし》だなぁ。------------------------------------
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たちまち客席から声が飛ぶ
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Posted 12 years ago #
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