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しかし彼女は何もしていないのだ

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  • Started 12 years ago by v92535hl

  1. 奥の部屋に行くと、入り口に近いところに春美が座っていた,burberry ショルダーバッグ。彼女は何もいわず、縁側にいる母親に目を向けていた。政恵は背中を丸め、うずくまっている。相変わらず、石のように動かなかった。「おかあさんを連れ出したいのですが」加賀が春美の背中にいった。 はい、と小さく答えて彼女は立ち上がった,burberry black label 渋谷。政恵に近づこうとする。「その前に」加賀はいった。「おかあさんが大切にされているもの、これがあれば気が休まるといったものがあれば、出していただけますか,burberry blue label 財布。拘置所まで持っていけるよう交渉してみますから」 春美は頷くと、部屋の中をさっと見渡した。すぐに思いついたことがあったらしく、小さな茶箪笥に近寄った。そこの戸を開け、中から本のようなものを抜き取った。「これ、いいですか」彼女は加賀に訊いた。「ちょっと拝見」加賀はそれを開くと、前原のほうに差し出した。「おかあさんの宝物はこれだそうです」 前原が一瞬ぶるると身体を震わせるのを松宮は目撃した。加賀が差し出したものは、小さなアルバムだった。 26 そのアルバムは、昭夫が何十年も目にしなかったものだ,burberry 銀座店。古い写真が貼られていることは知っている。最後に見たのは、おそらく中学生ぐらいだろう,burberry メガネ。それ以降は、自分の写真は彼自身が整理するようになったからだ。 加賀に見せられた頁には、若かりし頃の政恵と、少年だった昭夫が並んで写っている写真が貼ってあった。少年の昭夫は野球帽をかぶっている。手には黒くて細長い筒を持っていた,burberry 靴。 小学校の卒業式だ、とすぐにわかった。政恵が来てくれたのだ。彼女は笑いながら右手で息子の手を握り、もう一方の手を軽く上げている,burberry 時計。その手には小さな札のようなものが持たれている。何なのかはよくわからない。 こみ上げてくるものがあった。 認知症になりながらも、今も政恵は息子との思い出を大切にしているのだ。懸命に子育てをしていた時の記憶が、彼女を癒《いや》す最良の薬なのだ。 そんな母親を自分は刑務所に入れようとしている──。 実際に彼女が罪を犯したのなら仕方がない。しかし彼女は何もしていないのだ。一人息子の直巳を守るため、といえば聞こえはいいが、結局のところ、そうしたほうが自分たちの未来に傷が残らないというエゴイスティックな計算が働いている,burberry 手袋。 いくらぼけているからといって、母親に罪をなすりつけるなど、到底人間のすることではない。 だが彼は差し出されたアルバムを押し戻した。さらに、今にも涙があふれそうになるのを必死でこらえた,burberry ゴルフ。「もういいんですか」加賀が訊いてきた。「おかあさんがこれを拘置所に持っていけば、あなたはもう見られなくなるんですよ。もう少し、じっくりと御覧になられたらどうですか。我々は急ぎませんから」「いえ、結構です。見ると辛いだけだし」「そうですか」 加賀はアルバムを閉じ、春美に渡した。 この刑事は──昭夫は思った。おそらくすべてを見抜いているのだ,burberry black label バッグ。犯人がこの老婆ではなく、二階にいる中学生だと勘付いている。そこで何とか真実を吐露《と ろ 》させたいと、あの手この手で老婆の一人息子に心理的な圧力をかけてきているのだ。 こんな姑息《こ そく》な手に負けてはならないと彼は自分にいいきかせた。刑事がこういう手段に出るということは、何も確証がないからなのだ。

    Posted 12 years ago #

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