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  • Started 12 years ago by fdrianowl

  1. 。 廂《ひさし》の間《ま》に、夕霧が(あっ)と思うように美しい女《ひと》がいた。 その女《ひと》は女房たちとはちがう。まぎれもなく、話に聞く、かの紫の上であるらしい、と夕霧にはすぐわかった,coach財布レディース。 けだかくて美しくて、あたりがさっと匂うばかりの美貌だった。 春のあけぼのの霞《かすみ》の間から、華やかな樺桜《かばざくら》が咲き乱れている……夕霧はそんなことをふと思った。呆然《ぼうぜん》とみとれている青年の顔にも、そのあでやかさが照り映えるかと思われるばかり、愛嬌《あいきょう》はこぼれるようだった。 あんな美しい女《ひと》も、この世にはいるものかと、青年は搏《う》たれたように思った。 御簾《みす》が風に吹きあげられるのを、女房たちが押えていたが、どうしたのか、佳《よ》き女人《ひと》はそちらの方を見ながら、にっこりした。 その笑顔の、何という美しさ、愛らしさ。 青年は心も魂も吸われてゆくように思った,クロエ トートバッグ 新作。 その女《ひと》は、花が気になって奥へはいれないようすである。 そばにはそれぞれ美しい女房たちもいたが、その女《ひと》にくらべることもできない,chloe 財布 lily。 父上が、自分をこの女《ひと》に近づけないようにしていられたのは、なるほどこの美貌に迷って万一のことがありはすまいかと、懸《け》念《ねん》なされたからであろう。 なんという周到な父上のご配慮かと思うと、青年は、こうしてかいまみているのが、そら恐ろしくなった。 立ち去ろうとすると、ちょうどそのとき、姫君の部屋から源氏が奥の障子《しょうじ》をあけてはいってきた。「いや、ひどい風だね。格子を下ろしなさい。男たちがそのへんにいるだろうに、これではまる見えになってしまう」 といっている。 青年はあらがいがたい好奇心にかられ、またそっと引き返してのぞいた。 源氏は微笑《ほほえ》んで、紫の上に何か話している。 成人した息子をもつ親とも思えぬ若々しさ、清らかにも艶《えん》に、男ざかりのなまめかしさにあふれている,chloe 財布 人気。 紫の上も、これは女ざかりの優雅さが匂うばかり、夕霧はおとなの男女の美しさのきわまりを見た思いで、ことに紫の上のなつかしさは身に沁《し》むようにおぼえたが、折から吹き立てる風のいっそう烈しく、渡殿の格子が飛ばされてしまった。 姿がまるみえになってしまう。 青年はそれに恐れて退き、いま来たばかりのように咳払《せきばら》いして、簀《すの》子《こ》(縁)の方へあるいてきた。その声が間近く聞こえたせいか、「それごらん。言わないことではない。見通しになっていたよ」 と源氏はいって、はじめて妻戸が開《あ》いていたことに気付いた。 夕霧は内心、紫の上をかいま見られたことがうれしかった。風というものは何とたいしたものではないか、岩をも吹き上げるというけれど、あんなにつつましい深窓の美女を、かいまみさせてくれたのだと思うと、うれしくて、いまは野分に感謝したい気持なのであった。 邸《やしき》の男たちが参って、「風がひどくなりました。東北の方から吹いておりますから、この御殿は大丈夫ですが、馬場殿と南の釣殿《つりどの》は危険でございます」 と、暴風にそなえて準備に大さわぎしている。源氏は夕霧にどこから来たか、と聞いた。「三條の大宮の御殿でございます。風がいよいよ烈しくなりそうだとのこと、こちらの様子も不安なのでお見舞いにまいりましたが、またあちらへ戻ります。おばあさまはもう、子供のように怖がっていられるのがお気の毒ですので」「そうだな。早くいってさし上げなさい——おことづけを頼むよ。風がひどうございますが、夕霧がおりますからご安心なさいませ、私は息子に任せて失礼いたしますが、と——,クロエ 二つ折り財布。よくお慰めしてくれ」 源氏は、いつに変らず、亡き妻の母にやさしかった。 道すがら、眼もあけられぬ暴風雨だったが、夕霧は無事、三條邸に着いた。 この青年は篤実な性格で、毎日きちんと、祖母の三條邸と、父の六條邸へ顔を見せていた。御所の御物忌《ものいみ》などで宿直《とのい》するときのほかは、どんなに公務が多忙な日でも、まず六條院に参って、そのあと三條の宮にゆき、そこから参内《さんだい》する、という日課なのだった。まして今日のような暴風雨の日は、夢中で見舞いにあるくのも、殊勝なことであった。 大宮は、夕霧の見舞いを、うれしくも頼もしく、待ち受けていられた。「この年になるまで、まだこんなひどい野分は知りませんよ」 と、大宮は恐ろしそうにふるえていられる。 戸外では、大きな木の枝でも折れるのか、めりめりという音の聞こえるのも物すごい,coach 財布 人気。「屋《や》根瓦《ねがわら》も飛んでいるという中を、よくまあ、無事でおいで下さったこと」 と、大宮はうれしそうにおっしゃった。 昔は、あんなに権勢のおありになった方だが、いまは、ひっそりと寂しいお一人ぐらし、孫息子の夕霧のみをたよりにしていられるのだった。おん子の内大臣は、あまり大宮にやさしくないのである。 夕霧の中将は、夜もすがら荒い風の音をききながら、そぞろに人恋しく、寝つかれなかった
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    Posted 12 years ago #

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