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「おれには剣が必要だ」「………」「なにもかもやり直しだ

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  • Started 12 years ago by fdsfnx39

  1. 男は薄笑いをしていたが、眼は狂暴な光を宿して元司を見つめている。「あんまり気に入ったから、荷物を持たしてもらっておともするよ」「いや、その必要はない。軽いものだ」「遠慮することはありませんや,クロエ 二つ折り財布。小倉へ行くんだろ? あっしもそっちの方へ行くんだ」 その男は、本性を現わしたように、元司の行李に手をのばした。元司はその手を強くはらった。「連れになりたいというなら、拒みはせん。だが行李には手を出すな」「おや、妙な言い方だな」 男は手を振った。すると男たちが一斉に元司を取り囲んだ,coach 財布 新作。手に火がついた薪をにぎっている男もいる。「まるでおれたちが追いはぎみてえな口をきいたぜ、この旦那はよ」「親切が気にいらねぇらしいや」「ところがおれたちは親切が病いで、やめられねぇときている」 こいつら、斬ってやるか,aokley サングラス 通販。元司の胸に向うみずの怒気が動いた。しかし元司が刀の柄に手をかけると、男たちはどっと元司に組みついて来た。敏捷《びんしよう》で手馴れた動きだった。 そのとき人が駆けよる足音がして、鋭い声がひびいた。「おい、何をしておる」 男たちは元司から手を離して、声の方を振りむいた。元司も声の主を見た。眼の鋭い中年の武家が立っていた。旅姿ではなく、このあたりの藩の侍のようだった。 そのときのことを、江戸に帰ってから元司は東条塾の後輩安積五郎に話した。元司はそのとき中津藩士に助けられて、無事小倉につき、九月下旬に江戸に帰ってきたのである,ルイヴィトン 財布 レディース。「文武兼修でないといかんな。正直のところならず者五人に囲まれて、手も足も出なかったからな。平気を装ったが、心は萎縮していた」「そうですか」 と安積は、いつものようにやさしい声で言った。安積は子供のころ右眼を失明して、一眼だったが、仁王のようないかつく大きい身体をしている。元司を尊敬していた。「君のような身体を持っていれば、剣技も必要ないかも知れんが……」 言って、元司は改めて安積の巨躯《きよく》を眺め、失笑した。「おれには剣が必要だ」「………」「なにもかもやり直しだ。家へ帰り、西に遊学して、結局得るところなく江戸に戻ったという感じだ。このあたりで腰を据えて文武に打ちこみたい気分になってきた」「………」「もっともオランダ船と商館を見たのはよかった。九州ではいろいろと得るところがあったということかも知れん。あのごろつき連中をふくめてな」[#改ページ] 北辰一刀流 一 元司は千葉道場の稽古風景を、外からのぞいていた。道場の板壁に、風通しの格子窓がついていて、中で稽古の音がしているときは、誰かしらそこから中をのぞきこんでいる。 元司の横に、もう一人男がいる,ヴィトン 財布 モノグラム。町人ふうの中年男だった。その男は最初からそこにいて、元司が寄って行ったとき、帯刀している元司に遠慮したふうに一度は身体を引いたのだが、じきに稽古見物に夢中になって、その遠慮を忘れた顔になった。元司と顔をならべ、力が入って時どき肩で元司を押したりする。 暮近く、もう薄暗い道場の中で、すさまじい稽古試合が続いていた,ルイヴィトン ショルダーバッグ。痩身の剣士と、相手は小柄な剣士だった。しなやかな身体の動きと、鋭い竹刀《しない》さばきが、一瞬も眼をはなせない張りつめた空気を生んでいる。視野の中に、坐って二人の試合を見つめている門弟たちの姿が見えたが、門弟たちは身動きもせず、しわぶきひとつ立てる者がいないようだった。 背が高く、痩せた剣士が打ちおろした竹刀を、小柄な剣士は一髪の差で、身体をひねって躱《かわ》したようだった。躱していただけでなく、小柄な剣士は、身体をひねりざまに相手ののびた胴に鋭い竹刀を打ちこんだ。長身の剣士が、その竹刀をぱちりとはじき返すと、二人は言い合わせたようにするすると後にさがった。「よし、それまで」 太く重おもしい声が道場にひびいた。 ──千葉先生かな。 元司は首をのばして声がした方をのぞいたが、声の主の姿はそこからは見えなかった。「ごらんなさい」 商人が小窓の横木に額をつけたまま言った。「あれが三男の道三郎さんです。あれでまだ十七ですからな。道三郎さんのお相手をした方が栄次郎さん」 元司は商人と額をつけ合うようにして、中に眼をこらした。千葉の次男坊栄次郎は前に見て知っていたが、三男の道三郎を見るのははじめてだった。薄暗い道場に坐ったまま、面をはずした道三郎の顔が見えた。さっきのすさまじい試合ぶりが信じられないほど、ほっそりとまだ少年の面影をやどす顔だった。 ──剣は天稟のものか。 元司は、やや気分が滅入るのを感じながらそう思った。酒田の伊藤弥藤治の道場に通った自分が十七歳だったことを思い出していた。そこでは、ただ竹刀をふり回しただけで、得たものは何もなかったのだ。「一番下に多門四郎さんというひとがおりましてな。この方がまだ十歳なのに、兄さん方に負けない剣を使うそうです」 町人は千葉道場のことをよく知っているらしく、今度は窓から顔をはなして、元司の顔を見ながらそう解説した。 千葉周作には四男一女がいて、四人の男子ともに剣の才能に恵まれていた。長男の奇蘇太郎が一時父の代稽古で門弟に教えていたが、近ごろは父の周作が扶持をもらっている水戸藩に指南に行くことが多く、門人の稽古はもっぱら次男の栄次郎が引きうけている。-------------------------

    Posted 12 years ago #

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