反藤繚一郎に会って、世話になった礼と退院の挨拶だけはしておかねばならなかったし、驍が割った色絵の大皿の弁償金も用意していた。 繚一郎が金銭を受けとろうとは思われなかったが、相当額に見合う品の物色がつかず、結局、現金で償うことにした。この金だけはとにかく届けておかなければ、京都を離れるわけにはいかない。驍は、何がなんでも置いて帰るつもりで出かけた,オメガ メンズ 時計。 泉涌寺一帯は、京焼陶磁器の生産地として知られ、業者が寄り集まっている一劃《いつかく》である。 狭い路地や坂道やまがりくねった迷路のような小道の奥や両側に、家内工業ふうな窯場《かまば》や工場が建ち並び、なかにはトタン掛けの小屋や、カスバを思わす陶器|窟《くつ》とでもいいたいようないり組んだ小さな窯場が、ほうぼうで眼についた。 反藤家は、そんな小道を幾筋かまがりつたって、だらだら坂をのぼる途中で見つかった。 古い板張りの木造倉庫のような家並みの前に、軽三輪が一台とまっていて、山積みにした太味の薪束《まきたば》を荷台からおろしていた。 狭い道いっぱいに車は行手をふさいでいて、驍は身を横にしてそのそばを通り抜けねばならなかった。 そんなときだった。「イヤ、楯林さんとちがいますのん?」 と、いきなり声をかけられて、立ちどまった。 薪が運びこまれている倉庫のなかから、ふだん着にエプロンがけの見知らぬ女が、手を払いながら通りへ出てきた。「そうどっしゃろ? 楯林さんどすねやろ?」「ええ……」 驍は、足をとめたまま、女の顔を眺めていた。「まあ、もうよろしゅおなりやしたんどすか?」 女は、晴れやかな声をあげて近寄ってきた。「あの……じゃ、あなたは……」「へえ,coach 財布 ピンク。反藤でおす」「そうですか。そりゃどうも」 驍は、とっさに口ごもりながら、頭をさげた。「いや、助かりました。ここがお宅だったんですか」「あら、そんなら、うちにみえとくれやしたんどすか?」「ええ。おかげで、今日退院できましたもんですから、ちょっとご挨拶にと……」「イヤ、そうどすか、それはまあ、ようお越しやしておくれやした。とにかく、表のほうへおまわりやしておくれやす」 女は、驍の先にたって、倉庫ぞいの道をまわり、門構えのある玄関口に案内した。「さあ、どうぞ。おあがりやしておくれやす……」 女は、玄関口をあがると、脇の廊下を通って客間に驍を招じいれ、エプロンを脱ぎながら、「えらい格好してまして、かんにんしとくれやっしゃ。まあ、おらくにしとくれやすな」 と、いって、ひとまず奥へ入って行った。 若い女中が、いれかわりに茶を持ってきた。 しばらく、驍は、簾《すだれ》格子の開け放たれたひんやりとする座敷にすわって、小池のある古びた庭を眺めていた。 家全体が古い歳月の重みや奥深さを持っていて、沈んだほの暗いたたずまいを整えていた,coach財布レディース。 驍は、たぶんあの女が美濃子という繚一郎の妻なのだろうと、思い返してみたりしていた。 紀子やマサルがいうほどの濃艶さがあるとも思えなかったが、それは化粧気のない顔や、エプロンがけのふだん着で、薪おろしの人夫仕事を手伝っていたりしていたせいにちがいない。 たしかに目鼻立ちの整った、たおやかな容姿の女であった。 この家には、美濃子の母親と、繚一郎、弟の大学生、あとは女中が一人と、窯場の焼き物工たちが三人ばかり住み込んでいると聞いた。 しかし家のなかはひっそりとして、物音一つしないのであった。 女中が、抹茶に干菓子を添えて出てくると、再び黙っておじぎをして出て行った,oakley メガネ。 驍がその茶碗を飲みほしたときだった。 奥の襖《ふすま》を開けて、さっぱりとした和服に着がえた美濃子が現れた。 白粉気《おしろいけ》はほとんど見受けられなかったが、薄く口紅だけをはいていた。それだけで、見ちがえるような匂やかさが加わっていた。「いや、えらいお待たせしてしもて、かんにんしておくれやっしゃ。ほこりかぶってたまんまのなりでしたよって、あんまりお見苦しゅうおすやろ思いましたものやさかい……」 と、いいながら、彼女は、驍の手のなかの淡雪色の茶碗に眼をとめ、「どうどす? よろしかったら、もう一服おたてしまひょか?」 と、うながした。「いえ。もう結構です」 驍は、茶碗を畳に置いた。「あの、お仕事のお邪魔をしたのではないでしょうか」「何をゆうといやす。ちょっとも、そんなことおへん。手はなんぼもそろうてますよって、わたしも、ほかにすることもなし、気まぐれに、ちょっと若い衆《し》の手間、まぜくってただけどすねん」 驍は、改めて名を名乗り、先日来の礼を謝した,ヴィトン 長財布。「まあもうよろしやおへんか。気楽に崩しておくれやすな」「いえ、今日はぜひ反藤さんにお目にかかって、お礼やらお詫びやら申しあげたくて……」「いや、そうどすか。どないしまひょ。せっかくみえとくれやしたのに……えらい間の悪いことどしたなあ。あのひと、いまいてしまへんねん」「お留守ですか?」「そうどすねん。この月いっぱい、帰ってきイしませんのどす」「と、おっしゃいますと? どこか、ご旅行かなんかででも……」「そうどすねん。パリに行ってますのんどす」「パリ?」「へえ,ルイヴィトン ショルダーバッグ。なんや知らん、あっちで展覧会があるらしおしてな……いえ、ほんまは遊びに行きとうて、ついでに展覧会思いついたようなもんですねんやろけど……この京都のお仲間内で、若手の伝統工芸家が四、五人寄って、画廊を借らはったらしいんどっせ。それに一枚噛んで、行きましたのよ。でも、どうどすのん? 楯林さんなんか、あちらの様子にお詳しいのですやろ。こんな夏場に、パリで展覧会開いたかて、あちらは見てくれるひとがいてはらへんのとちがいますの? そうどっしゃろ?
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「いや、えらいお待たせしてしもて、かんにんしておくれやっしゃ
(1 post)-
Posted 13 years ago #
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