。 ——ただ言えばいいんだ。素直に協力しろ。あんたにはその義務がある。 桜田は期待を高ぶらせ、言葉を待った。 ついに達子が言った。「何をお聞きになりたいと言うのですか」「能見さんがここ五年の間どこにいて、だれの助けを受けていたか。彼のそばにいて、彼の療養を見守った人物を知りたいんです」 達子は顔を戻し、にっこりした。「さきほど申し上げましたでしょう。なんにも知らないんですよ」 ——……駄目か。 桜田は椅子に背を預けた。身分を明かさないほうがよかったろうか、話の持っていき方を間違えたろうか。桜田は従業員に声をかけ、コーヒーのおかわりを頼んだ。達子が今にも、もうよろしいですか、と言い出しそうだ。「慣れない街で、たいへんでしょうね」 間繋ぎだ。「あたしは出身がこちらですから。姉もいますし友達もいます……関西弁は抜けてしまいましたけどね」「そうでしたか……お孫さんのお世話をされているとか」「息子のところは共働きですからね。いい子守ができたと勝手に喜んでいますよ」「息子さんは何をなされてるんですか?」「息子は大学に勤めています。講師兼研究者。哲学なんてあたしにはさっぱりです」 すでにその話は得てある。東京の大学院を卒業後、知人の引きもあり大阪の大学に移ったとか。彼の妻も大学で研究をしているという,オメガ デ ヴィル。「奥さんは何を」「彼女は医者です」 ——医者……医者だって? 桜田と達子の視線が結ばれた。「何を考えてらっしゃるの。彼女は細胞学専門の学者です」 達子はあやすように笑った。桜田も笑みを返した。「残念です」 桜田は達子と別れてすぐ、有働裕輔に面会した。 豪腕有働のイメージからは想像できない、小柄で声の優しい、物腰静かな人物だった。 すでに達子とはあれだけ突っ込んだ話をしている。ここで遠慮することもない。自分が警察の人間で能見を探している、と真っすぐに伝えた。予想通り、裕輔は能見を知らないと語った。裕輔に会ったのは、彼を問い詰めるためではない。 話を一通り終え、話題を世間話に誘導していき、彼の妻について聞き出した。 ——裕輔の妻のところは医者家系。代々医者を稼業としてきた。だが女で医者になったのは彼女が初めてだ。大学は東京の医大を出た,coach 財布 アウトレット。今は大阪のある女子医大研究部にいる。 名は有働まりあ。これを聞いて、裕輔とはこれで別れた。 すぐに移動。大阪市街からはだいぶ外れたところにある女子医大にいく。受付でだいぶ待たされた揚げ句、やっと有働裕輔の妻が現れた。東南アジア系の浅黒い肌、やや突き出た頬骨。これはまったく予想していなかった。「有働まりあです」 淀《よど》みのない、きれいな日本語だった。 話を簡略化し、能見という男を探していると伝えた。彼女は、知らないと答えた。「もしかしたら、ご主人からわたしがきたと連絡があったんじゃないですか」「ええ、実はそうです。ここにもくるかも知れないと」 話を世間話に誘導。妹も大学で医学を学んでいる、とでたらめを言って気を引く。「そのう、失礼ですが、あなたはどちらの——」 まりあはふっと微笑んだ。「悪いことを聞くみたいな顔」「いえ、そんな」「わたしが日本にきたのはもう、二十年以上前のことです。ベトナム難民として、日本にきたんです」「そうでしたか……医者の家系だと聞きましたが、ベトナムで?」「ベトナムでも、日本でもです。兄が埼玉で医者をしています」「日本にはお兄さんと二人だけ?」「叔父《おじ》が東京にいます。叔父に面倒を見てもらって、今のわたしたちがあります」「叔父さんは、東京で医者をなさっているんですね」「ええ、整形外科の開業医をしています。義理の父とは古くからの知り合いだったとか。その縁もあって、わたしは今の主人と知り合ったんです」「……義理の父とは、有働警視のことですか」「ええ」まりあは、当然でしょう、とでも言うように苦笑した,ルイヴィトン モノグラム 財布。「あなたの旧姓は? つまり、日本にきてからの旧姓ですが」 まりあは怪訝《けげん》な顔をしたが、もう構ってはいられない。「森田……ですが」「叔父さんの姓は」「それも、森田ですけど」 大きな横揺れが突然きて、桜田は狭い洗面所の中でたたらを踏んだ。もうすぐ名古屋到着、とアナウンスが告げた。 ——当たりだ。 桜田は確信を持った。能見を助けたのは森田という元ベトナム難民の男だ。 ——整形外科で開業医、有働とは古い知り合いだった。これ以上ない条件をそろえている。 加えてもうひとつ,オメガ シーマスター。達子が犯した微かなミス。これは新幹線に乗ってから気づいた。 ——達子は驚かなかった。あんたの旦那《だんな》は犯罪組織に消された、と言われてもまったく驚かずに先へ話を進めた。あの平然さはおかしい。 有働達子と能見たちは知り合いだった。また、有働達子は森田医師とも知り合いだった。能見を助けたのは達子。治療とリハビリを担当したのが森田。 金属音が響いた。桜田はカーテンを開けて廊下へ首を突き出した。思った通り、車内販売の女性が進んでくるところだった,coach 財布 ピンク。「ビールあるかな」 事はまだ終わっていない。だがもう、手探りではない,ルイヴィトン 財布 モノグラム 三つ折り。ささやかな前祝いを自分に許してもいいだろう
相关的主题文章:
DavidCadogan.ca Forums » DavidCadogan.ca
彼女は、知らないと答えた
(1 post)-
Posted 12 years ago #
Reply
You must log in to post.