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「そうか

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  • Started 12 years ago by ogzw4961

  1. ああ、しかし木谷は刑務所のなかで、小石と紙とのりを食ったと話したし、彼自身も大陸の戦場で、まるで残飯あさりどころか拾い屋とかわるところはなかったではないか。「安西は、学校では秀才だったそうです。二班に安西と同級のものがはいっていて、いうてましたですが……」弓山は言った。「そうか。そうかもしれんなあ。……」曾田はいいながら向うの三年兵のかたまっている辺りをうかがったが、三年兵たちは、はなはだしく気勢をそがれてしまって、熱い湯のはいった薬罐《やかん》を股《また》にだいたり、互いにくらいつきあったりして、寝台の上にちぢまっていた。弓山も同じようにその方をみたが、彼はこうして曾田と話などしていたらあとで三年兵のバッチがとんでくるにちがいないとおそれているのだ。「弓山とこはお父さんがないんやろ。」「はあ、おやじがはやく死んだもんで、母がはたらいてくれてますです。」「何してられるの?」「はあ、ひとを置いて、下宿屋のようなことをして、やってるんですけど……」「それで、やって行けるか。」「ああ、そら、いつまでそれでいけるかわからしませんけど……」「そうか……,chloe 財布 2013。かえりたいやろ。」「はあ、でも、自分ら、まだはいって二カ月にしかならしませんのですよって……」「弓山。……そんなこと言わんと、ほんとのこと言えよ……」「え,oakley サングラス 激安? はあ——」「ほんとのこと言うてもええやろう。」「はあ——」「俺にも言えんか……」曾田は首をのばして相手の胸元に額をおしつけるようにして、一寸その顔をのぞきこんだが、相手のととのった顔はまぶしそうに眼をしばたたくだけで、相手がほんとうのことを言わずにいるのか、それとも別にいうべきものをもたないのかはわからない。「将校になってしまえば、君らは、またらくになるけどな……」曾田は君という言葉をつかって言った。「別に自分は将校になりたいなど、思いませんです。」弓山は言ったが、その言葉のなかには、つよいものがあった。「でも、家の事情で……」「そうか。」曾田は言った。彼は改めてかたい声で相手の名をよんだ。「弓山。今日、昼、一寸、話したけど、イタリアのことな、あれのでてる新聞あるよって、貸すよ。」 曾田は後の手箱の横からとっておいた新聞を取りだして、あとでよんでみるようにと言って渡したが、彼は班の入口に補充兵の内村が、班長室からさげた班長の食膳《しよくぜん》をもってはいってきたのをみつけて、たちあがった。内村は曾田の方をみて、にっこりわらうではないか……。あいつはまた何か自分に持ってきたのだ、菓子か、大福か。その内村の顔のあの昼間准尉の家でみた父親の顔とにていること! 内村はたすかったのだ。たしかに内村は、うまいこと准尉を手に入れたのである。曾田はいままでにも准尉の家へ行ったとき、「そんなことをして頂いては、そんな御心配は御無用にして頂いて。」といいながら、たずねてきた兵隊の父兄から品物を受け取っている准尉をみて、そうか、なるほどと思ったことがある。それ故に内村の父親がどんな方法で准尉を手に入れたかは彼にははっきりわかるのだ。しかしこの内村がうまいこと准尉を手に入れたために、あの木谷はその代りとして野戦へほうりだされなければならないのである,OAKLEY サングラス 店舗。「三年兵殿、曾田三年兵殿……今日は酒保にコーヒー売りにきてよりますけど、よかったら買うてきまひょか。」内村は向うから言った。「新聞はよう、しまっとけよ。」曾田は弓山の方に言っておいて、内村にはかたい顔をみせたまま出て行こうとしたが、内村は彼をとらえてはなすまいとした,ルイヴィトン 財布 メンズ ダミエ。「三年兵殿。三年兵殿……」すりよってきた内村が曾田の手におしつけたのは、氷砂糖の塊だった,chloe 財布 人気。「三年兵殿、野戦行き、一体どないなりましたんやろ……え、もうわかってまんねんやろ……三年兵殿、コーヒー自分が買うといてもよろしまっせ……どないです。」「俺にはわからんぜ……コーヒーは、いらん。」「三年兵殿、よろしまんがな……とっといとくなはれ……」内村は腰の辺りをくねらすようにして、氷砂糖をかえそうとする曾田をおしかえしたが、曾田にはそれを拒否しつづけることはできなかった。彼は以前内村がこのように露骨に追従をするなどということは予想することができなかったのである。彼は内村のどこまでもせまってくる哀れな顔をしりぞけることができなかった。「三年兵殿、この次には、うんと氷砂糖とブドー酒がはいることになっていますよってな。」 曾田は寒さのために桜色になっている、ひょうたん型の内村の顔が、無言のまま自分に向って何かをたのんでいるのをみた。「おい、内村、曾田准尉殿にせいぜいまじないをしとかんとあかんぞ……」三年兵が向うから言った。すると橋本三年兵が言った。「おい内村、こっちにもよこせよ、そんな事務室ばっかりに、ひっついてんならんということもないやろ……こっちにもたのむぜ……」「はい、すぐ、そっちへももって行きますです。」内村は言った。 十四 曾田はのがれるようにして班内をでた。いまきいた曾田准尉殿といういやな言葉は彼の心を深く撃っていた。彼はそれ以上そこにとどまってその屈辱にたえていることができなかった,ルイヴィトンモノグラム 長財布。彼は階段をはしるようにしてとびおりて行った。彼は自分では事務室へ行って今夜の不寝番の勤務を変更する手続きをとっておかなければならないと考えていたにかかわらず、彼の足は事務室へは向わなかった。
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    Posted 12 years ago #

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