玉子は少女のような一途な表情を見せた。「え? 伊也さまがお城にもどっておられた? それはまた、どうして?」 玉子は佳代を従えて、池田六兵衛に伴われて次の間にいる初之助の話を聞いていた。「はい」 淋しいほどに澄んだ目を、初之助は伏せた。 昨日初之助は、宮津まで出かけた。興元とは、既に訪ねる約束をしてあった。 興元の部屋で、庭を見ながら話をしていた時、熊千代を遊ばせている若い女の姿が目に入った,ルイヴィトン モノグラム 財布。くろぐろとした長い垂髪と、その着ている小袖は、遠目にも侍女のものとは思えなかった。(忠興殿の側室か?) と不審に思った時、その表情をとらえた興元が、「あれは、妹の伊也だ」 といい、「哀れな奴よ、あの妹は。このごたごたの世にあってはのう、一色義有を亡ぼして、一刻も早く丹後を平定し、国をあげて秀吉に従わねばならぬと、父上はあせったのであろう,OAKLEY アウトレット。何しろ義有は強かったからのう。兄の忠興でさえ、奴の豪胆には一目おいていた。それにしても父は策士よ。その伊也の亭主をまんまとこの城に呼びよせた。何といって呼んだと思う?」「さ、それは」「それが、むこ、しゅうとの盃を取りかわすという口実だ。何も盃を交わさずとも、伊也が義有に嫁いだからには、むこしゅうとであるのは自明のことだ」「…………」「義有は強いが、単純な男だ。無論、全く警戒していなかったわけではない。たくさんの家来を引きつれてやってきたのだが、むこ、しゅうとの盃を取りかわす席には、一、二の限られた者しか通れぬ。義有が注がれた大盃を、こう両手に持った瞬間に、兄上が太刀で切りつけた。義有の肩から脇に、さっと血が吹き出たというぞ。しかし、さすがは義有、何歩かしっかりした足どりで歩き、縁まで出てドタリと倒れた。小山が倒れるような豪快な死であったそうな。それが九月八日よ。味土野にそなたを伴ってから、いく日も経たぬ。伊也はそれ以来、また城に戻っているというわけだ」「それは……」「何しろ父は、頭はまるめたが世渡りの名人じゃ。貴公知っているか。おやじ殿は七月の二十日に、本能寺の焼け跡で連歌の興行をした。つまり、信長様の追善供養よ。大した物入りだったが、これが評判になって、羽柴秀吉殿も、すっかり細川家を信用しているということだ」 興元はその時の連歌、墨染のゆふべや名残袖の露幽斎 たままつる野の月の秋風聖護院道澄 わけ帰る道の松虫音に啼て法橋紹巴 を紙に書いてみせた。「ま、おやじ殿としては、細川家を安泰におくために、あれこれ知恵をしぼったわけだ。だが、何としても伊也はあわれなことをした」 興元の語るのを聞きながら、父と兄に夫をだまし討ちにされた伊也の心は、一体どんなであろうと、初之助はいたましい思いで、熊千代といる伊也の姿を眺めた,ルイヴィトン 財布 モノグラム 三つ折り。思いなしか、伊也の姿は魂が抜けたように力がなかった。 その姿を思い出しながら、初之助は、「はい、一色義有殿は、大窪城での、むこしゅうとのちぎりの宴において、果てられた由伺いました」 とのみ、玉子に答えた。玉子はその一言にすべてを察し、「まあ、では伊也さまは、義有さまを殺されて……」 と絶句した。「は、乱世の世なれば……」 初之助は言葉少なにいった。「やっぱり……」 思ったとおり、伊也も不幸な運命であったと玉子は思いながら、嫁いでゆく日の初《うい》々《うい》しい伊也の花嫁姿を目に浮かべた。 去年嫁いだばかりの伊也には、既に夫はないのだ。しかも、父と兄の奸計に倒れた。玉子は、胸の中を冷たい風が吹きぬけていくような気がした。 その伊也の幸せを祈って送り出した自分も、今はこうして山中に幽閉の身である,chloe 財布 人気。(女はなぜに、こんな悲しい思いをしなければならないのか) 男たちは、女をこんなにまで不幸に陥れても、尚争わねばならぬものなのか。この先、自分はどれほど長い間、この山中に身をひそめていなければならないのか。自分をここにかくしたのは、せめて命だけは助けようとの手だてかも知れぬ。とすれば、あるいは自分は、この山中に一生幽閉の身として終わらねばならぬかも知れぬ。玉子は暗い思いに閉ざされた,chloe 財布 新作。「そうですか。伊也さまは、もどられましたか」 深い吐息をついた玉子の、憂いを含んだまなざしが初之助の上にもどった。初之助はちょっと目を伏せた。 今日、邸内で会った忠興の精悍な表情を、初之助は再び複雑な心で思い浮かべた。 興元との歓談を終え、興元に送られて城門近くに来た時だった。馬に乗った忠興が二、三の伴をつれて門から入って来た。初之助が忠興を初めて見かけたのは、もう五年も前になる。玉子との見合いのため、忠興が坂本城に訪ねて来た時であった。それ以来今が初めての対面である。はっとして、初之助は油断なく立ちどまった,coach 財布 人気。「頓五郎、この者は?」 浪人姿の初之助を、忠興は馬上より見おろした。「都で知り合った浪人で、三上初之助と申す者」「三上初之助?」 うさんくさそうに、鋭い目を向ける忠興に初之助は一礼した。「腕が立つ御仁でのう」 興元はとぼけてみせた。「うむ、目くばりがちがう。たしかに腕は立ちそうだ」「そのとおり。剣も弓もよくする。鉄砲もうまい。
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兄の忠興でさえ、奴の豪胆には一目おいていた
(1 post)-
Posted 12 years ago #
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