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|砂漠《さばく》の昼夜は温度差が激しい

(1 post)
  • Started 12 years ago by h46281ho

  1. h46281ho
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    してやろうと狙うようになったのである。 2 正介には真っ先にあの女jpg"> そういえば怒《いか》りという感情も、久しく味わっていなかった。「……俺は逃《に》げるかもしれません。貴方《あなた》がたの予想と期待を裏切って、これを抱えて逃げるかもしれませんよ。或《ある》いは瓶《びん》を岩に叩きつけ、揺らめく光を取りだして、俺の望みの者に与えることもできる。そしてその子供を思うとおりに育て上げ、魔王としての絶大な力を操《あやつ》って、この国を覆《くつがえ》すことも不可能じゃない!」「彼女の魂を抱《だ》き締《し》めて、自ら命を絶つこともできますね」 銀の髪の一房《ひとふき》も動かすことなく、少女は無感情に微笑んだ。「そうしたいのなら、おやりなさい。私たちは眞王陛下のお言葉を、あなたにお伝えするだけです。陛下の存在を疑わしく思うのでしょうが、過去に巫女でない者が何人も、陛下のお声を聞いていますよ」 俺は聞いていない。「そう、眞王陛下はフォンウィンコット卿ともお会いになりました」 首を上げるには勇気が足りなくて、コンラッドは自分の姿を見続けた。「スザナ・ジュリアは亡くなる前に、陛下と短く言葉を交《か》わし、自らの魂が次代の魔王となることを、快く受け入れたと聞いています。ただひとつ、彼女が望んだのは……」 大理石に映った人影《ひとかげ》が、ぐらりと大きく傾《かたむ》いた。コンラッドは冷たい石に|膝《ひざ》をつき、傷の残る両手で顔を覆《おお》った。「……スザナ・ジュリアの魂をあなたにあずけること」「じゅてーむもなむーるぴーたーぁ」 大声での愛の告白に、コンラッドは悲鳴をあげて飛び起きた。「あ、ごめんごめん。なんかゲティスバーグからいきなり人権宣言になって、そっからフランス語になっちゃったんだよね」「フランス語? フランス共和国、国土約五十四万四千平方キロメートル、人口約五千六百万人、首都パリ、西岸海洋性気候……なんだこれは!?」「すごいやさすがにNASAブランドだ! 一晩でネイティブスピーカーだね。本当はエイリアン用だけど、この調子なら人間にも有効かな」 窓の外はすっかり明るくなり、診察室の空気も暖まっていた。|砂漠《さばく》の昼夜は温度差が激しい。 これから昼にかけて気温が|上昇《じょうしょう》し、やがては暑さに悩まされるのだろう。 コンラッドは枕元の缶《かん》の蓋《ふた》を開け、預かり物が収まっているのを確認《かくにん》した。部屋の中をじっくりと見回して、続いて自分の両手両足を見詰《みつ》めてみた。それからやっと目の前の白衣に焦点《しょうてん》を合わせ、男の笑いじわに感心した。「……いつでも|機嫌《きげん》がいいんだろうな」「やっぱりきみ英語が話せるようになってるよ! すごいなーオレの言葉も判《わか》ってる?」「……あなたはピーターですか?」「いやいやいやピーターじゃありません。オレはホセ・ロドリゲスです。ノボリベツではありません、ロドリゲスです」「こんにちは、ロドリゲスさん。ご機嫌いかがですか。私はウェラー・コンラートです……これいつまで続ければいいだろう」 ロドリゲスは眼鏡《めがね》を押し上げて、デスクにあった数枚の書類を確認する。「あれ、コンラートがセカンドネームなの? ごめん手違《てちが》いでコンラッド・ウェラーになっちゃってるよ。でもほら社会保障番号ないと不便だろうから、事前に手を回してIDを作っといたんだけどね。ああそれからこれは当座の|滞在《たいざい》費と、アメックスのゴールドカード」「あんたは誰《だれ》なんだ? どうして俺と同じ物を持っている? どうして俺のことを知っていて、何故《なぜ》あんな|魔術《まじゅつ》を使えるんだ?」「うん、元気でてきたね」 病的に痩《や》せた医師は勝手に|納得《なっとく》し、時代物のパソコンの電源を入れた。「オレとしてはとりあえず朝食を摂《と》らせたいところ。寝《ね》てる間に目の横の傷は縫《ぬ》ったけど、かなり出血していたし、もう一センチ左にずれてたら、確実に失明してたんだよ。そうなってたらここではどうにもできなかった。オレはこの街|唯一《ゆいいつ》のドクターで、当|診療所《しんりょうじょ》の責任者だけど、ここには最低限の設備しかないし、オレの専門は外科じゃないからね。さて、きみの疑問を解決しようか。まず、ここが何処《どこ》か知りたいだろう。これを見て」 立ち眩《くら》みを起こしかけたコンラッドは、手近な|椅子《いす》に倒れ込んだ。ちょうど医者と患者《かんじゃ》の位置関係になる。ロドリゲスはディスプレイの中央を指差した。「これが地球の平面図、でここにあるのがアメリカ大陸。いいかい、ぐーっと寄ってみるよ。はい、これが合衆国ニューメキシコ州、のぎりぎりメキシコ近くにこの街、エルサワイヨです。判ったかなー?」「もしかして専門は小児科かな」 ロドリゲスは両手を打って大袈裟に|驚《おどろ》き、笑いじわをますます深くした。「今のはオレの心を読んだんだね!? すごいや異世界の魔族はホントに魔術が使えるんだ」「魔術が使えるのはそっちだろ」「何が? 物を動かしたり耳で字を読んだりできるのは、魔族じゃなくて超《ちょう》能力者だよ。世界中で地道に生きてるオレたちみたいな魔族は、みんな健気《けなげ》に頑張《がんば》ってるんだよ」 ええ!? ではあの最新式戦車は何だ? 絵の動く箱や|目映《まばゆ》い灯《あか》りはどうやって……。 ダムが決壊《けっかい》したみたいに、脳にデータと理論が流れ込んできた。ああ自動車、ああテレビ、ああ電気。フォード、日本人、モシソン、アインシュタイン、グラハム・ベル、本田|宗一郎《そういちろう》……何が何やら。「コンラッドしっかりー」「……あんたが地球の魔族だってことだけは、しっかり確認しとかないと
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    Posted 12 years ago #

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