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バス停で行列をさせても、きちんと並ぶことがない

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  • Started 13 years ago by ferpo1574

  1. 時間がたつにつれ、通夜《つや》の客はどんどん増えてくる。儀礼的に来る者もないことはないが、もともと通夜に集まるのは、故人を本当におしんで来る者が大部分だろう,ルイヴィトン ボストンバッグ。そういう客の頭の上で太鼓を鳴らし続けるんだから、まったく……」「高校生でしょう」「ああ,OAKLEY アウトレット。高校三年だよ」「で、部長の言うことも聞かんのですか」「うん。ヘッド・ホーンというのか……通信士がかぶる奴……それで音楽を聞きながら、ドラムを叩いている。俺は腹が立ったからむしり取ってやった」「で、どうしました」「ああいう時の若い奴の顔ってのは、実に嫌なもんだな。まるで火星人かなんかのように、別な世界から来たというような顔をしている。目を見たって涙なんか出てやしない,ヴィトン 財布 メンズ。とがめるようにジロッと見て、すぐそっぽを向いてしまう。文句があるんなら相手の目を睨《にら》みつけるのが男だのに」「どういう気持でドラムを叩いていたんでしょうね」「僕のこの不安感なんか、あんたには判らないでしょうと言いやがった」「不安感……」「そうだ、不安感だ。驚いたね。正直なのを通りこして、あれじゃ恥しらずだ。父親が死んで、この先どうなるか判らないという不安なんだそうだ。それをまぎらすためもあると言いやがる」「それでドラムですか」「そうさ。半分は父親の死を自分なりにいたんでいるのだが、そればかりじゃないと……」 伊藤は飲む手をとめ、考え込んだ。「たしかに、頼りにしていた父親をなくしたら、これからの生活に対する不安はあるでしょうな」 飯田はテーブルを叩いた。「父親の死んだ晩だぞ。不安があろうがなかろうが、高校三年にもなったら、嘘《うそ》にもキリリとして見せて、客の手前も家族の為にも、長男たるもの今後は自分が立派に家を支えて行くという態度を示すのが当り前じゃないか。俺は呆《あき》れて物も言えなかった」 飯田は本気で涙ぐんでいる。「客に悪いからやめてくれと、した手に出てたのむしかなかった。ところがどうだい。自分の家で何をしようと勝手だと言いくさった。自分の家には違いなくても、ああいう時には一時的に公共の場……会場になるってことが判らんのだよ。恐ろしいもんだ。俺はひと晩中頭の上で鳴り響く太鼓の音を聞きながら、本当にもう世の中は終ったんだという気がして、情けなくて仕様がなかった」「例外ですよ、例外……」 伊藤は励ますように言った。「そんなこと、忘れたほうが衛生にいいですよ」「衛生か……」 飯田は伊藤を見つめた。「そうだ。あれはうす汚ないもんだ。人情も思いやりもなくなった、えせ人間だ,ルイヴィトンモノグラム 長財布。まったく、衛生によくない」「どうです。河岸《かし》を替えて、もっと衛生にいい酔い方をしませんか。部長のように世の中をモロに見すえる人は時々そうやって酒で洗わないと保《も》ちませんよ」「そうだな,chloe 財布 人気。俺は少しやかましすぎるのかな。だとすると、君らは毎日|厄介《やつかい》な上司とつき合っていることになるな」「とんでもない」 伊藤は伝票をとりあげて言った。「僕らだってやはり昔風の折目正しいくらしのほうがいいんです。部長は或る意味で貴重な存在です。いいお手本にさせてもらっているんですよ」 伊藤は畳敷きの小間を降りて靴をはきはじめた。「新宿《しんじゆく》へご案内しますよ」 岡野が死んで以来、飯田はいっそう不安感をつのらせていた。何もかもが終末の様相を示しているようで、恐ろしいくらいであった。 ことに若者たちの姿には、どうにも救いようのない生命の退潮を感じてしまう,oakley サングラス 激安。 バスや電車に乗ると、飯田はいつもイライラさせられる。ラッシュ時の乗物はそうでもないが、ややすいている時間の乗物には、どうにも我慢できない光景がつきまとっているのであった。 それは、乗客たちの座席のとりかたであった。十人坐れる所へ精々七人くらいしか坐っていない。言い合せたように、お互いがかなりの間隔をとって坐り、つめ合って坐るということがない。ことに若者たちは、はじめから他人も坐るのだという感覚に欠けていて、実に無造作、無計算にいいかげんな坐り方をする。明らかに二人分の座席を占領しているくせに、膝《ひざ》送りにつめて来られると不機嫌な顔で形ばかり坐り直してすませてしまう。 バス停で行列をさせても、きちんと並ぶことがない。豊かになって、順番に乗らなくても、いくらでもバスが来るせいだろうか。 子供たちの中に、雑巾《ぞうきん》を絞れない者が出はじめているという。昔は手拭《てぬぐい》や雑巾を堅く絞れないのは、精薄児にきまっていたのに。 若者が歩かなくなったことはことにはなはだしい。昔風の距離感で言えば、ほんのふた停留所くらいの所を、平気でタクシーをとめる。
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    Posted 13 years ago #

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