DavidCadogan.ca Forums » DavidCadogan.ca

モデルは内側からドアを開けると、「COME IN」といった

(1 post)
  • Started 13 years ago by oedh6184

  1. 特に女たちには人気で、仕事が終わった深夜、仏さまに供えるための花束を抱えた女たちが大久保方面に向かっていく姿が夜毎目につく。休日には、千葉や埼玉からバスを仕立ててお参りにやってくる女たちもいる。もちろん、彼女らが祈るのは商売繁盛だ。金以上に大切なものなどこの世にはないということを、女たちはよく知っている,oakley サングラス 激安。 大久保の方の寺院をやっているのは人がいいだけの夫婦だが、百人町の方はちょっとばかり事情が違った。張國柱《チャングォチュー》と馬曼玉《マーマンユイ》という夫婦がやっているのだが、馬曼玉がやり手婆の典型のような女なのだ。台湾から出稼ぎにくる若い女が多かったころは手広く売春を組織してたんまり稼いでいた。女の数が少なくなると、商売替えをしたんまりとはいえないがそれなりに稼いでいる。銃器の密輸と密売を手掛けているのだ。寺院には「華聖宮《ファションゴン》」というたいそうな名前が付けられているが、実質は密売の隠《かく》れ蓑《みの》というにすぎない。曼玉婆さんにかかっちゃ、仏さまも慈悲のふるいようがない。富春だって、仏さまに用があったわけじゃあるまい。婆さんが売り捌《さば》く銃に用があったのだ。 そのまま新大久保でおりようかと思ったのだが、時間が早いことを考えてやめた。寺院は早朝まで開放されている。婆さんたちが起きだすのは昼を過ぎてからなのだ。二時間ほど時間を潰さなきゃならない。おれは目的地を目白に切り替え、扉の窓からどんよりと曇った空を見上げた。 目白に出てすぐ、携帯電話の電源を切りっぱなしにしていたことを思いだした。スウィッチを入れるとタイミングを計っていたようにベルが鳴った,ルイヴィトン 財布 メンズ ダミエ。「はい?」「泥棒!」 夏美だ。声が二オクターブぐらい跳ねあがっていた。「どうした?」「どうしたじゃないわよ。カード、返して」「なんのことだ」「銀行とカード会社に紛失したって電話いれたから、持ってても使えないわよ。返して」「なんのことだかわからないって」「豚野郎」 北京語だった。おれも北京語でこたえた。「部屋に戻っておとなしくしてろ。そのうち見つかるさ。じゃあな」 夏美がなにかを叫んだが、おれは電話を切った。ベルの音量をミニマムに調節した。すぐにベルが鳴ったが、ポケットに突っ込むとほとんど気にならなかった。 目白通りを西へ進み、ケンタッキーのある角を左に曲がった。十メートルほど歩いた右側に目当てのマンションがあった。超の字を三つぐらい並べたくなる外人専用の豪華マンションで、住んでいるのは外交官、事業家、タレント、それに詐欺師だ。もっとも、ペテンを働かない人間がこの世にいるのかと訊かれると、おれも返事に困るが。 エントランスの中ほどにある側面のパネルから五〇五のボタンを選び、押した。返事はなかった。煙草に火をつけ、ボタンを押しっぱなしにした。二本目の煙草に火をつけたところで、やっと金《キム》のダミ声がスピーカーから聞こえてきた。「うるせえな。いいかげんにしやがれ」 立派な日本語だった。「おれだよ,オメガ シーマスターアクアテラ。健一だ。仕事があるんだ」「あんたかよ。何度いったらわかるんだ。午前中は寝てるって」 おれはボタンを立てつづけに押した。「わかったわかった。今開けるよ,ルイヴィトン ボストンバッグ。くそ」 金の言葉が終わるか終わらないかのうちに、ドアの向こう側に人の気配がした,オメガ 時計 人気。エレベータが開き中から二メートルはあるんじゃないかと思うぐらいの大女が出てきた。なにかの雑誌で見たことがある,オメガ デ ヴィル。日本で人気が出てきたというファッション・モデルだ。二メートルはおおげさにしても、一九〇近くはあるに違いない。モデルは内側からドアを開けると、「COME IN」といった。おれは巨人の国に迷いこんだガリバーのような気分でモデルを見上げ、口笛を吹いてやった。本来ならおれがドアを支えてやるべきなのだが、そんなことをすれば、モデルの気分を害するに決まっていた。 モデルは一瞬だけおれに微笑みを見せると、表情のない能面のような顔で表の通りに出ていった。歩幅がおれの三歩分はありそうな歩き方だった。 おれは首を振りながらエレベータに向かった。大女の後ろ姿と、大金をかけてあるに違いないセキュリティ・システムにはなんの支障も来されずにマンションの中へ入れたことを考えると、おれの人生もまんざら捨てたもんじゃないという気分になってきた。このマンションであの大女に抱かれて眠ったら、さぞかし首筋が寒くなることだろう。 金の部屋はガラクタ置き場だ。リヴィングの床は足の踏み場もないほどコードやパソコンのオプション機器がばらまかれ、その上の空間にはざっと見ただけでも十台以上のパソコンが無秩序に並べられている。おれにはなにがなんだかわからないが、そうしたものすべてがなんらかのシステムの中で密接な繋がりを持っているらしいのだ。パサパサに乾き盛大な寝癖がついた髪の毛をかきむしりながら、金はマッキントッシュの前に座ってモニタと睨めっこをしていた。起きている時間のほとんどを、金はこうやって過ごしているのだ。「なにか面白い情報はあるかい?」 足の裏を怪我しないように注意しながら、おれはガラクタ置き場の真ん中に進んでいった。
    相关的主题文章:

    Posted 13 years ago #

RSS feed for this topic

Reply

You must log in to post.